リズム用語で欠かせない「グルーヴ」の意味とメカニズムを理解しよう
リズム用語でよく耳にするグルーヴや前ノリ、後ノリのメカニズムを理解して目的を持ったリズム練習をするようにしましょう。
今回はグルーヴ(Groove)の意味考え方とメカニズムについて一から説明します。
まず基本的にリズムというのは一定の周期をそれぞれの演奏者が感じながら演奏する時の目安になる指針です。
演奏者それぞれが異なったリズムで同じ曲を同時に弾いたら音がズレて曲に聴こえないのは
想像がつきますよね。
つまり演奏者がその曲のパルス(Puls)を感じて同時に意識する打点が合致すれば、
初めてバンド演奏として成立します。
このパルスと打点を意識して弾くとリズムが自然と良くなります。
パルスという言葉だけでは抽象的で意味がわかりずらいので
円をイメージしてみましょう。
例えば4分の4拍子一拍で円が一周するとしましょう。すると一小節で4つの円ができます。
この円一つの赤丸に向かって演奏者が同時に意識する場所を打点としましょう。
つまり、演奏者がみんなその一点に向かって同時に演奏することによりリズムが合ってきます。
そしてこの打点というのはスタジオミュージシャンなどのプロ奏者でも0.001秒とか必ずズレます。
しかしこのジャストには絶対にならない「微妙なズレがグルーヴ」と呼ばれる
打ち込みでは出せないリズムになります。
人間らしさがグルーヴとして表現されるということです。
微妙なズレは間違いではなくむしろ人が感じる気持ちよいリズムやノリになります。
正確無比なリズムが必ず正しいのではなく、各演奏者が作る独特のノリのセッションが良く聴こえたら
それがそのメンバーだけにしか出せないオリジナルな特徴ある正しいグルーヴになります。
つまり、正解なグルーヴ感は一つではないということです。
ただし勘違いして欲しくないのは、これはあくまで超少しのズレであるので、
32分音符のズレとかはただの間違いになりますのでそこは注意してくださいね。
打ち込み音楽のノリやグルーヴについて
打ち込み音楽みたいにズレが全く生じない音楽はノリがかたいとか機械的なリズムでなんか面白みがなく
グルーヴを感じることができないとか言われたりしますよね。
打ち込みのノリの悪さを感じたときの原因はこの微妙なズレがないのが原因であったりもします。
もちろん、ベロシティ(強弱)やデュレーション(音の長さ)ゴーストノート等も少し関わってきますが、
大きな要因はこの微妙なズレからくるグルーヴの場合が多いです。
ですので
打ち込みで生楽器を再現する時とかに何ティックずらすとかやって時間をかけて打ち込みでは再現しますが
全部の楽器をそれぞれ10ティックずらしたり20ティックずらしたりとか
フレーズ毎に調整するのはかなり大変です。
グルーヴを活かしたいバンド曲とか生演奏でしか出せない揺らぎなどの場合は
便利でハイテクな時代になりましたが、やはり人が演奏する方がグルーヴは良いことがわかります。
逆にダンスミュージックなどの打ち込み主体の音楽の場合は機械らしい完璧にジャストを軸(縦ノリ)に
リズムを構築しますので全部打ち込みで完成させる場合も結構あります。
また、曲のアレンジ方法としてリズム隊はあえて打ち込みのコンピューターに任せて、
ギター、ボーカル、キーボード等はリアルタイムで弾くといった
ジャストのノリと人間らしいグルーヴをミックスして作る楽曲もあります。
演奏する人達によって目的の打点から微妙なズレでできるリズムをグルーヴと理解しておきましょう。
ですので、次のレッスンで解説しますが「前ノリ」、「後ノリ」という
人それぞれの音楽ルーツやリズムの意識の仕方によっても
微妙なズレが生じてしまいますのでグルーヴが変わってきます。