ハーモニックマイナースケール
短音階の2つ目「ハーモニックマイナースケール」を解説していきます
ハーモニックマイナースケールを本格的に使用したい方は→こちらで勉強してください。
ハーモニックマイナースケールの成り立ち
このハーモニックマイナースケールというのは
ナチュラルマイナースケールのⅤm7を補うために
無理やり作り出されたんですね
どういうことかといいますと
ナチュラルダイアトニックコードにはトニックⅠm7に戻るⅤ7がないんですね
例えばキーがCmとすると
Gm7がドミナントの役割をするのですがどうしても解決感が弱くなってしまうんですね
いわゆるドミナントモーションとは言えないんですね
ルートの4度上進行の強進行しかなく
肝心なトライトーンを含んでいないので、不安感が少なく終止感が弱いんですね
でもこれはこれで、ゆったりした安心感を得られるので、良く使われるんですが・・
話を戻しますが、このドミナント終止をマイナー調でも使用したい!でも
ダイアトニックコードに含まれていない、じゃーどうする?
作っちゃえばいいじゃんという感じで作成されたんですね
そしてこのトライトーンの響きを出すためには
ナチュラルマイナースケールの短7度を長7度に変えればよいだけなんです
たったこの一音の違いだけなんですね
たぶんあっけないと思われたと思いますが、そんなもんです
あくまでⅤ7を作り出すために便宜上作ったので・・
ですので、ナチュラルマイナースケールをマスターしていれば
最後の7度を半音上げるだけと覚えればハーモニックマイナースケールは完成です
ただ、ここで注意してほしいことがあります
スケールの音は一音違いですが、これをダイアトニックコードに当てはめると
その変化した7度の音を含むコードは全て、半音上がりますので、コードが少し変化します
たったこの一音だけの違いでコードが4つ代わりますのでここだけは注意してください
具体的には
Ⅰm7→Ⅰm△7
♭Ⅲ△7→♭Ⅲ△7(♯5)
Ⅴm7→Ⅴ7これを作りだしたいだけが、他3つも・・
♭Ⅶ7→Ⅶdim
と結構、難しそうなコードが出てきたな~と思われるでしょう
またハーモニックマイナースケールを別名で和声的短音階ともいいます
この和声的のというのは、まさに文字通り和声(ハーモニー)的な必要のために
生み出されたスケールということから名づけられています
適当に名前が付けられたということではないんですね
ちゃんと意味があるんですね~理屈をしっかり理解していると簡単に見破れるんですね
新しく出てきたコードの使い方&特徴
そもそもハーモニックマイナースケールは
Ⅴ7だけが目的で作り出されたスケールですので
単独で使用するということはあまりしません
ではどのように使用するかといいますと
ナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードを中心に
ハーモニックマイナースケールのコードを所々に散りばめて使用します
また、ハーモニックマイナースケールは
クラシックなどの少し堅い音楽によく使用されます
メロディアスといいますか独特の雰囲気なクラシカルな響きが特徴です
♭6度から長7度の間隔が
短3度開いているのも独特な雰囲気を出す要因となっています
このスケールを指グセで弾きまくります
ハーモニックマイナースケールの雰囲気を知りたい方は
イングヴェイのCDを聞いてみると感覚が掴めると思います
♭Ⅲ△7(♯5)について
まず、♭Ⅲ△7(♯5)のコードはJPOPではほぼ使用されません
ジャズやフュージョンではバリバリ使われますが・・
ですので、このコードは、覚えられる方だけ覚えれば大丈夫です
残りの3つのコードはアレンジの幅が広がりますので
代表的な使用方法はマスターしましょう!
Ⅰm△7の使い方
Ⅰm△7はトニックマイナーですから終止感はありますが
Ⅰm7に比べると明らかに怪しい響きがすると思います
ですので、
この響きを出したいって時以外はナチュラルマイナーのⅠm7を利用します
ではどういう時に使用されるかといいますと
マイナークリシェの一部分でよく定番として出てきます
Ⅰm→Ⅰm△7→Ⅰm7→Ⅰm6と
一番上のトップノートだけが変化していく時に出てくるですね
特に、サビに行くBメロの後半やサビの終わりの方で使用します
トップノートだけが半音で下りていくので独特な雰囲気のドラマが生まれます
クリシェについては、別の記事で詳しく解説します
Ⅴ7の使い方
Ⅴ7は説明しなくても分かると思いますが
マイナーのツーファイブとして使用されることが多いので一応解説します
まずハーモニックマイナースケールはドミナントモーションを作り出すために作られたので
Ⅴ7→Ⅰm7
そこにⅡm7(♭5)を前に付けてあげるとマイナーのツーファイブが出来上がります
Ⅱm7(♭5)→Ⅴ7→Ⅰm7
マイナーのきれいな終止感が得られます
Ⅶdim7の使い方
Ⅶdim7は2つの使用方法があります
一つはⅤ7の代理としてドミナントの役割を果たしてくれます
例えば、Bdim7にGのルートを足すとG7(♭9)になるんですね
Bdim7/Gと表記される場合もあります
もう一つはパッシングディミニッシュとして使用します
特に、♭Ⅶ7を前に置いてトニックに解決します
♭Ⅶ7→Ⅶdim7→Ⅰm7
ベースラインが半音でスムーズに上がって行くのが特徴です
テンションとか分数コード、パッシングディミニッシュが出てきてしまいましたので
ここはスルーしてもかまいません。
後でしっかり一つ一つゆっくり解説しますので戻って読み返して理解できればOKです
どうしても説明するのに難易度的にテンションとかというのは
順番が後になってしまいますので申し訳ないのですが・・