ミックス・マスタリングテクニック②「パンニング」について
ここではミックスマスタリングテクニックの②として
「パンニング」について色々解説して行きます。
定位とは何か?
定位とはステレオの空間のどこに音を配置するか決めることです。
例えばバンドの楽曲をミックスする場合、
センターにボーカル、ギター、ピアノ、ベース、ドラムみたいな感じで配置したら
全く空間を感じることができません。
また音も真ん中にあるため同じ周波数同士が重なり
マスキングが起こって何を弾いているのか分からなくなります。
ですので、センターにボーカル、ドラム、ベース、左側にピアノ、右側にギターといった形で定位させます。
つまり周波数分布が近い楽器を左右に逃します。
もちろんEQで処理できますが、全体の立体感といいますか
拡がりはEQ処理よりパンで拡げてあげた方が空間を演出できます。
ボーカルを優先するためそこの帯域をEQで削るとボーカルとの干渉は避けられますが
本来のギターらしい音を断念することになります。
ですので、パンで解消できれば立体感+本来の音でミックスできることになります。
ただ、ここで注意していただきたいのが無闇やたらにパンで解決しようとすると
それはそれで帯域の衝突がどこかで気付かずに起こってしまう可能性がありますので難しい所なんですが…
そして定位させる(操作する)つまみをパンと呼びます。
パン・ロー(Pan Law)とは何か?
一般的にステレオトラックでセンターと左右の音量差を補正する機能のことをいいます。
いわゆる、パン・デプスというやつです。
専門的に解説しますと、デシベルの計算上音量が2倍になってしまい(+6dB)になってしまうので
通常はセンター定位の時に(-3dB)になるように設定されています。
どういうことかといいますと次のように試してみると仕組みが分かると思います。
次に左から右にパンを動かしてみて音量の変化に集中して聴いてみてください。
左でも真ん中でも同じ音量で聴こえませんか?
つまり、パン・デプスにより常に一定の音量で聴こえるように補正してくれているということです。
センター定位が一番聴きづらい理由
これは楽器類が真ん中で鳴っている音が多いため聴こえずらくなってしまうためです。
当たり前といえば当たり前の話なのですが一応確認も含めて…
ですので、左右に振ってあげるだけで聴こえなかった音が聴こえるようになったりしますので
一度意識して試してみてください。
同じ音量でも配置により聴こえ方が変わる事を実感できると思います。