ダブルドミナントコード
前回はセカンダリードミナントを解説しましたが
理解できましたでしょうか?
そこでは5つのセカンダリードミナントとして学びましたが
1つだけ他のセカンダリーコードと少し違う所があるんですね
その違いのコードはⅡ7です
主音のダイアトニックコードのドミナントコードⅤ7に進行します
つまり、調性上のドミナントコードに進行するセカンダリードミナントコードになります
で何が他4つと違うのかといいますと、ドミナントコードの連続になっているんですね
そして、唯一このⅡ7のコードだけ別名が付けられています
その名も「ダブルドミナントコード」或いは「ドッペルドミナントコード」といいます
さらに、機能&役割も若干違ってきます
どういうことかといいますと
セカンダリードミナントは、部分転調して次のコードに解決する役割をしていましたね
しかし、このⅡ7からⅤ7の進行はドミナントの特徴である
トライトーンの協和音程への解決がありません
その代りトライトーンが平行に半音下行して、
Ⅴ7のトライトーンへ繋がるという特徴があります
でここで重要なのは、「サークルオブフォース」
①ルート間の強進行
②トライトーンから次のトライトーンにスムーズに繋がる
この2つの特徴によって、
調の解決はしませんが、ダブルドミナントを延々に繋げることが出来ます
どういうことかといいますと
ありとあらゆるドミナント7thコードがひとつの循環した輪を作ることができるんですね
そしてこれが有名な「サークルオブフィフス」日本語でいいますと「5度圏」と呼ばれるものです
これはCを基本にそこから5度のインターバルにあるはG音になります
そしてGから5度のインターバルにある音はD音という感じで
12音全て順番に考えて行くことができます
C→G→D→A→E→B→F♯→C♯(D♭)→A♭→E♭→B♭→F→C
となりまた元に戻ってきます
これを時計と同じように円系にしたものが、「サークルオブフィフス」です
5度進行を繰り返すと12番目で最初の音になるという性質があります
ちなみに、これをCから(強進行)4度下のインターバルにあるF音、
そのまた4度と反時計周りに見たものを「サークルオブフォース」といいます
※サークルをサイクルという場合もありますが同じことです
そのキーの調号を書いていくと、時計周りではシャープが1つずつ増えていき
反時計周りでフラットが1つずつ増えていきます
ということは、これを覚えておくと、
その楽曲の♯、♭の付く数が簡単に導き出すことができます
楽譜のト音記号の横にある♯、♭の数を見ただけで、その曲のキーが分かるようになります
例えば、♯が二つなら、Cから時計周りに二つ進むと、Dになりますよね
これで、この曲がDメジャーか平行調のBmどちらかということが一目で分かります
♭が三つなら、Cから反時計周りに3つ進むと、E♭になりますので
E♭メジャーかCマイナーのどちらかということになります
これが使えるようになると便利ですので、是非この機会に覚えておきましょう!
「ダブルドミナント」の魅力的な使い方
そして、ダブルドミナントに話を戻しますと
このダブルドミナントを「サークルオブフォース」に当てはめると、
自分の転調したい「キー」まで
ドミナントコード同士を繋げて行って止めた所で
そのキーのトニックに変えてあげれば、
どんなキーにも違和感のない転調ができます
例えば、元のキーがCメジャーでB♭メジャーに転調したい場合
C-Am-Dm-G7→C7→F7→B♭△7
とG7から「サークルオブフォース」反時計周りに当てはめると、
「ダブルドミナント」を
連続させていくだけで、スムーズな転調が出来てしまいます
これがダブルドミナントの特徴であり、効果的な使用方法です
どこの「キー」に落ち着くのか想像もつかないので、
作曲者の意図でどうにでもなるという、
ある意味作曲をする時のリスナーを驚かす醍醐味でもあります
もちろんダブルドミナントは転調だけを目的で使うということでもありません
例えば、先程のⅡ7-Ⅴ7の場合
キーがCメジャーとすると
C△7-Em7-D7-G7→C△7
CキーからこのD7の時に一瞬転調しますが、結局Cキーにすぐ戻るという
本来のセカンダリードミナントと一緒で部分転調としても使用します